春風亭昇太

春風亭昇太が笑点の司会を桂歌丸から引き継いで4年。
彼の大抜擢に当初は「消去法」と言われていましたが、
前司会者である桂歌丸が本当の理由をこう語っています。
「まず若さ、明るさ。そして即興力があるわけですよ。あの方は新作落語をやりますよね。古典も”昇太流の古典”でやる。同じネタでも昇太さんがやるとガラッと違ってきちゃうわけです。笑点はこれから何十年も続けてもらいたい。そのために若い昇太さんを推薦しました。」

人気・個性・実力ともに認められて笑点の司会者となったわけですが、
今の状況になるまでに紆余曲折があったそうです。

小学生の時。彼は落語に全く興味がありませんでした。2歳年上の兄は落語が好きで、よく落語を聞いていたそうです。
その後、東海大学に進学。ラテンアメリカ研究会に入ろうとしたら、たまたま留守。で、隣の部室だった落語研究部の先輩に声をかけられたのがきっかけで入部したそうです。
当時のことを彼はこう語っています。
「落研の部屋に入ってみたら、そこにいたのは陽気な人たちばかり。
初めてみた落語は出てくる人、出てくる人、みんな面白いんです。
僕はなにも知らないんだな、と衝撃を受けました。」
落研時代の高座名は「頭下位亭切奴」(とうかいてい きりど)。
大学2年生の時に出演したテレビ番組『大学対抗落語選手権』にて優勝。学生落研名人になります。
その後、漫才コンビ「ザ・まんだらーず」としてテレビ朝日の「ザ・テレビ演芸」に出演。グランドチャンピオンになったのを期に大学を中退し、春風亭柳昇に入門します。
落語の道を選んだのは、好きだったから。
お笑いやお芝居は競争が激しいし、歳を取ると体力的にキツそう。一方、落語家は若い人が少ないから自分にもチャンスがあるし、体力的にも長く続けられる仕事だと思ったそうです。
職業として成り立つギリギリのところが、僕にとって落語だった。そう言っています。
22歳の若者がそういう仕事観を持っていること自体すごいですね。
なんにも考えずに役者の道を進もうと思っていた自分が恥ずかしいです。
新作をやりたくて春風亭一門に入門したのですが、前座時代は古典の稽古ばかりでつまらなかったそうです。
しかし4年が経ち、二つ目に昇進した時に、彼は続々と新作をやり始めます。
お客さんの評判はいい。しかし、落語会での評価は低かった。
当時の落語は「古典こそが落語」という空気感があり、新作落語は評価されなかったそうです。
デビューから11年目。彼は真打ちになります。
そこで「新作でダメなら古典でエントリーするか」として臨んだところ、文化庁芸術賞などの賞をたくさんもらったそうです。
今は新作でも古典でも、自分の言葉で落語ができ、お客さんが満足してくれれば、それ以上のことはないと言っています。
そんな彼がインタビューでこんなことを話しています。
「前座の4年間は、”どうやったら先輩にかわいがってもらえるか”ばかり考えていました。何か言われたら、笑顔で元気に『ハイ!』と返事して。それが一生懸命やっているように見えたのか、かなりかわいがってもらいました。その頃の僕、見た目もかわいかったですし(笑)」
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昇太師匠「かわいがられることばかり考えていた」前座時代
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1612888/
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芸術の世界はなんだかんだいって実力世界。
実力というと、知識やスキルと思ってしまいがちですが、
可愛がってもらうのも大切な能力だと思うんです。
しかも、若い時だけのものじゃない。
歳取ってからも、可愛がってもらえるスキルって大事だなと最近思います。
そう考えながら、久しぶりに笑点を見てみました。
うん、なるほど。
なんかいい!
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今週も週刊秋葉塾をお読みいただきましてありがとうございました。
今回のメルマガは若い時の自分に一番見てもらいたい内容かもしれません。
生意気だったからなぁ〜。
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