悪い人を取り除く

経営者の団体で、ちょっとした事件が起こった。
ある指導者を起用するな、という通達が上層部から出されたのだ。
彼は人気の指導者だった。
僕も彼とは親しく、人格もスキルも認めている。

そんな彼が、なぜ?

理由は、指導者としてのクオリティにあった。
どうやら、組織が定める基準に沿わない指導をしていたことがあり、
何度か指摘を受けていたが、改善の兆しが見られなかったというのだ。

そこで、彼に直接話を聞いてみた。

確かに指摘された点はあったが、改善に向けて取り組んでいたという。
そんな矢先の通達。彼は相当なショックを受けていた。

彼がいなくなることで、僕たち会員は困ることになる。
ただでさえ指導者の数が不足し、トレーニングの予約も取りづらい状況なのに——。

なぜ、このタイミングで指導者を減らす決断をしたのか?

この問題について、会員の中心メンバーが集まり、議論を始めた。
状況を深掘りしていくと、どうやら上層部に問題があるらしい。
浮かび上がったキーワードは 「既得権益」
これは、その権益を守るための判断ではないか?
そんな疑問が出てきた。

「これは公平な判断ではない」

怒りにも似た意見が飛び交い、議論は次第にヒートアップしていった。
そして、いつの間にか話の方向性は、
「既得権益を守ろうとしている人たちが悪い」という流れになっていった。

一方で、その人たちの功績についても語られた。
彼らは品質を担保するために、指導力を高め、
会員メンバーのスキルアップのために尽力してきた。
今回の決断は全体のことを思って下したもの。
そういう意見もあった。

そんな中、ある女性会員の一言が場の空気を変えた。
「その人を排除して、本当に問題は解決するのでしょうか?」

一瞬、場が静まり返る。

彼女は続けた。
「私たちが本当に求めているのは、どんな状態なのでしょうか?」
「指導者が増えて、きちんとしたトレーニングを受けられることが理想のはずです」

僕はハッとした。
そして、自分の思考の癖に気づいた。

僕は、物事がうまく進まないとき、
その原因を見つけ、排除しようとする傾向がある。
でも、彼女の指摘は違った。
排除したところで、目的が達成されるわけではない。
本当に必要なのは「問題の解決」ではなく、
目的を達成するための方法を考えることではないか?

その後、議論は建設的に進み、会員としての要望を提出する形でまとまった。

提出した内容は、
 1.指導者を増やしてほしい
 2・会員がトレーニングを受けやすい環境を整えてほしい
僕たちは、「排除すれば目的が達成される」と勘違いしてしまうことが多い。
でも、本当はそうじゃない。
問題を解決するのではなく、目的を達成する方法を考える。
これこそが、誰も傷つかない本当の解決策なのだと思う。
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今週も「週刊秋葉塾」を読んでいただき、ありがとうございます。
ドラマ『3年B組金八先生』で「腐ったみかん」という表現を使っていましたね。
英語だと「Bad Apple(問題児)」というらしいです。
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