娘の中学受験FINAL

娘の中学受験の日。
朝、応援の言葉をかけようと玄関で待っていた。
「いってらっしゃい!」といったが返事はない。
娘は話したくなさそうだ。マスクを深くかけ、俯いて僕の前を通り過ぎる。玄関の外に出て妻が来るのを待っていた。
ドアをあけてもう一度顔を見ようとしたが開けてくれない。
あんまり刺激するのもよくないので、残念な気持ちを抑えながら、妻と一緒に試験会場に向かう娘の背中を見送った。
娘の中学受験、僕はあまり協力的ではなかった。いや、なれなかったといった方がいいかもしれない。僕は以前息子の中学受験を担当した。第一志望に合格させてあげれなかったのと息子との関係が悪くなったということもあり、相談して、妻が見ることになったからだ。
娘がどれくらい勉強に取り組んでいたのか、真剣に受験に向き合っていたのかわからない。
今日までの1ヶ月、特にスイッチが入った様子もなく、いつもどおりゲームとYouTubeを見て過ごしていた彼女。直前に受けた模試の結果は、合格判定60%だった。
「大丈夫なのだろうか?」
心配からか、毎回第一志望に落ちる夢を見た。
前日のこと。8時ごろリビングに行くと彼女はまだ寝ていた。
具合が悪いのかと妻に聞くとそうではないらしい。
「6時には一度起きてるから」
そう言った妻に少し腹がたつ。
体を慣れさせるためには習慣化が必要だ。人間の体なんて、そんな簡単に変化に対応しない。妻に任せて大丈夫だったのだろうかと心配になる。
そういえば、過去問の結果も全く把握していなかった。
「大丈夫なの?」って聞くと
「合格点平均は超えてるよ。」と。
LINEで過去問の結果が送られてきた。
ほとんどが90点以上。
あの取り組み方で点数取れるの?僕は疑問で仕方がなかった。
時計を見ると10時32分になっていた。国語の試験が終わった頃だ。
もう算数が始まっているかもしれない。
“調子はどうかな?”
“過去問通りだったらほとんど解けているよね。”
気負わず頑張って欲しい。僕と同じで、自分でプレッシャーかけちゃう子だから。
夕方。
合格発表は18時にインターネットで告知される予定になっていた。僕は妻からの連絡を待った。
18時04分。妻からLINEがきた。
ドキドキしながらLINEを開く。
『合格おめでとうございます』
画像が貼られていた。
正直ホッとした。
帰りにケーキを買って帰った。妻と娘には特別なケーキにした。
家に着いて娘の顔を見ると、朝とは全く違う顔の娘がいた。相当緊張してたんだろう。柔和な顔になってよくしゃべった。やはり緊張で思ったように解けなくて自信がなかったようだ。でも合格は合格。娘と妻の勝利だ。
翌日、娘が午後受けた試験結果が届いた。実は第一志望の学校は午後入試もやっていてこちらも受けていたのだ。午前よりも午後の方が倍率も偏差値も上がる。
結果は不合格だった。
娘は2ヶ月前、第一志望を変えた。成績と学習態度から挑戦校は無理だと判断したのだ。実力相応校の午前の枠を選んだことが合格につながった。ほんと危なかった。

息子は2年間、娘は3年間、受験勉強に取り組んだ。
無邪気で可愛かった子供達が、受験を通じて、少しずつ大人になっていく。
この経験が今後の人生において、彼らを強くし、支えになることを僕は信じている。そしていつか、この日のことを振り返り、家族の絆の大切さを感じてくれたらいいなと思う。
息子と娘の中学受験物語はこれで終わり。
今は、ほっとした気持ちとさびしさが入り混じっている。
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今週も「週刊秋葉塾」を読んでいただき、ありがとうございます。
中学受験、父親としても成長できたと思います。
振り返ってみるといい経験でした。
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