埼玉での受験、はじまる

娘の受験に向けて、家族の思いが交錯している。
中学受験をした方がいいって言ったのは僕だ。一番の理由は、良質な教育を受けさせたいと思ったからだ。東京だと、公立と私立では教育の質が結構違っている。息子を私立に入れてみてより強く感じるようになった。
娘は自由な性格なので、彼女の長所を伸ばすためにも、平均的な教育をする公立よりも私立の方がいいと思ったのだ。
息子の勉強は僕がみてあげていた。彼は最後の2ヶ月、本当にがんばった。結局第一志望には合格できなかったけれども、ちゃんとスイッチを入れられるようになってきている。勝負どころでは好きなゲームを断って取り組んでいるみたいだ。結果もちゃんと付いてきている。僕のやり方はよくなかったのかもしれない。それが原因で息子との関係が悪くなってしまったのは残念だけれど、がんばる力を教えられたのは良かったと思う。後悔はない。
娘にも彼と同じようにがんばる力を身につけてほしいと思った。ただ僕が勉強を見ると、ついつい力が入ってしまう。だから娘の勉強は妻が見てあげて、僕は塾の送り迎えと娘のケアが役割になった。
12月になったらゲームもYouTubeもやめて勉強に専念した方がいい。
そう思う僕と、彼女には息抜きが必要だという妻。
「ちゃんとルール決めて時間守るなら」ということで渋々合意した。11月のこと。もう1ヶ月を切っているというのに、娘は相変わらず真剣に受験に向き合ってくれない。
大晦日。
夕食の準備も整い、「一年間お疲れ様でした」と乾杯をしたいのに娘がやって来ない。ゲームをやっているのだ。妻も息子も先に席について待っている。なんども声をかけたけど、返事はするものの来る気配がない娘。
「まだ?」ときいたら、「わかった。」と返事だけはする。
心の中で、怒ってはダメ怒ってはダメ。と念じる。
ルールを守らないことに対してもそうだが、三人の時間を奪っていることにだんだん腹が立ってきた。
10分くらい待っただろうか。痺れを切らした僕は
「もういい、三人で乾杯しよう!もうゲームはさせない!」
と言ってしまった。
場の空気が一気に変わったのを感じる。
おそるおそる妻と息子の顔をみる。
二人ともお通夜みたいな顔になっていた。
静まり返るダイニング。テレビの音が鮮明に聞こえる。
そうして秋葉家の2023年は、終わった。
1月2〜3日は塾の正月特訓に申し込んでいた。
家だとスイッチが入らない娘のために、塾で勉強した方がいいと妻から提案されたのだ。僕も賛成した。
2日の朝、娘を塾に送った。「頑張ってくるんだよ」との声に元気にうなずく。
昼過ぎくらいに塾から電話があった。娘からだ。お腹が痛いと言っている。すぐにズルだとわかった。
「帰ってきてもいいんだよ」と伝える妻にイラついた。今こそ娘にとって頑張りどころだと思ったからだ。
「最後まで塾に残らせた方がいいよ」
そう伝えると、
「いつも勉強見てないじゃん。頑張っているところ見てないからそう言えるのよ!」
とすごい剣幕で言ってきた。
頑張っているのはわかっている。そうじゃなくて、もう試験まで1ヶ月切ってるし、みんなプレッシャーの中でやっていて、今がんばらないと本番で勝てないんじゃないの?って思ったわけでなんだけど…。
妻が反論してきた理由はすぐにわかった。きっと、大晦日の日に、娘にもうゲームさせないって言ったことが引っかかってるんだと思う。
妻は一人っ子でプレッシャーに弱いタイプ。だから子供達にもそうさせたくないという思いが強い。反面僕は、三人兄弟の真ん中。サバイバルで生きてきた人間。だから、プレッシャーは乗り越えていくものだって思っている。ここが大きな違いなんだと思う。
結局、腹痛が治らないということで迎えに行くことになった。車に乗り込んできた瞬間「お父さんの顔見たらホッとした」と娘がいった。
「塾の雰囲気が違ってお腹痛くなっちゃった?」って聞いたらそうだったみたい。
「本番はもっとピリピリするかもしれないから、慣れておかないとね」というと、わかったと頷いた。
翌日も車で送って行った。「今日は最後までがんばろうね」と声をかけると何も言わずエレベーターに消えていった。その日は最後までがんばれた。帰りの車で「大丈夫だったでしょ」って聞くと、こっちを見ないで「うん」と言った。
今日から埼玉での受験がスタートする。場に慣れるために埼玉の学校も受験するのだ。本番は2月1日。
僕と妻の考え方は違うけど、方針の違いにイライラしたってしょうがない。どっちが正しいかなんて、最後までわからないものだしね。
ただ、どんな結果が出ようとも、3年間遊びたいのを我慢しながらも受験に取り組んできた娘を褒めてあげたいと思う。そして、勉強に付き合ってくれた妻のことも。
振り返ってみると、今回の娘の受験ではあんまり役に立ててなかった。わかったようなこと言える資格なんて、本当はない。
本番まであと21日。
二人のがんばりを見まもることが、一番の貢献なんだと思う。
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このメルマガが届いている頃には所沢で試験を受けている最中だと思います。
結果は翌日の午前中に出るそうです。
まずは1勝勝ち取りたい。
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